エステルは金属ソープ(吸着基)を持つ分子構造で、電気的に金属表面に吸着する特性があります。
通常のオイルは、エンジンを切って数時間経つとオイルパンに落ちてしまい、エンジン始動時にシリンダーとピストンなど金属同士が接触する境界潤滑となり、ドライスタートといわれる始動時磨耗が発生します。エステルはエンジンを切ったあとでも金属表面に電気的に吸着している油膜が残り、常に金属表面が濡れている為にエンジンをドライスタートから保護します。エステルベースオイルの始動性が良いのはこのためです。

また、その特性から油圧の低い低速域から強い油膜を形成し、理想的な流体潤滑に近づく為にエンジン音が小さくなり燃費向上に効果があります。

エステルの問題点は、加水分解による乳化、添加剤との溶解性などがありましたが、石油化学技術の進歩により飛躍的に改善されております。

またエステルと言っても、コンプレックスエステル、ポリオールエステル、ヒンダートエステル、ジエステルなどピンからキリまであり、タクマインオイル匠シリーズでは、最高級コンプレックスエステル、ポリオールエステルをベースとし高性能を追求しております。

タクマインではコスト削減の為、パッケージは非常に簡素ですが、中身は自信を持ってブレンドしたオリジナル配合のスペシャルオイルを充填しており、すばらしいコストパフォーマンスにて最高級エステルベースオイルをご提供させて頂いております。
是非一度お試し頂ければ幸いです。
 
 

その①でご説明したとおり、エステルは始動性、エンジン音低下、燃費向上に大変効果がありますが、基本的には低中速、低~中荷重域においての効果となります。

そこで高速、高荷重域に対応する為には、さらに熱安定に優れたベースオイル、PAO(ポリアロファオレフィン)をバランスよく配合する事で、低荷重域から高荷重域まで適正油膜が保持されるベースオイルが出来上がります。

匠オイルがサーキット走行でタレにくいのは、この為です。

ではエステルにPAOを配合すれば全て高性能ベースオイルが出来るかと言ったら、それは出来ません。エステル、PAOともにそれぞれピンからキリまで多くの種類があり、どれをチョイスするのか、どれを何%配合するのかによって性能が大きく左右されるからです。この部分がエンジンオイルの奥深いところだと思います。

 
 

ここでは皆様が、一番興味があると思われる耐久性についてご説明したいと思います。

エンジンオイルは「ベースオイル+各種添加剤」の構造で製造されてます。各種添加剤とは、エンジン内部をクリーンに保つ為の洗浄分散剤や、オイルの酸化を防ぐ為の酸化防止剤などです。その添加剤成分や配合率によって耐久性は大きく変化します。その中でも特に耐久性を左右するポリマーについてご説明します。

ポリマーとは一般的に粘度指数向上剤を意味します。読んで字のごとく、ポリマーを配合する事でオイルの粘度を上げる事が出来ます。作用としては、ポリマーは油温が上昇するとポリマー分子が膨張する事でオイルに粘りが出ます。簡単にオイル粘度を上げる事が出来ますが、問題は熱に弱いという事です。油温が一定のレベルを超えると熱によるせん断、物理的せん断が発生し劣化していきます。ポリマーが劣化すると粘度を維持できなくなりシャバシャバのオイルとなり、熱ダレの現象が発生します。

この熱ダレの現象は、サーキット走行など激しい走りの時に顕著にあらわれ、実際に経験された方も多いのではないでしょうか?

では何故ポリマーを配合するのでしょう?大きな理由は、配合が簡単で低コストで作れるからです。その為、一部の高性能オイルを除き、市場流通しているほとんどのオイルにポリマーは配合されております。

匠オイルが耐久性に優れているのは、ベースオイルの力だけで粘度を出す、ノンポリマーだからです。